逃亡することも抵抗することも出来なければ、自分の意志を襲うそれらの渦にただ立ち尽くすのみ。退路があるとするなら、漆黒の闇のような無意識か。少なくともそこに逃げ込めば、辛い状況も考えずに済む。
だがそこに逃げ込んでしまうと、それまで抱いていた幸福や希望とも遮断されてしまう。
かくして、みずみずしく輝いていた瞳から光は消え、代わりに暗く濁った達観に染まる。
あるいは、絶望を受け入れて相手の一方的な欲望に染まってしまえば、別の光が瞳に宿ることもあるかもしれない。が、大抵は性交の汚汁にまみれた中で、自身の体を襲った欲望に茫然自失するのみだ。
いっそこれが悪夢であればいいのに……、このまま死んでしまえばいいのに……。
目の光を濁らせ、眼の力をすっかり緩ませた彼女たちの意志は悲しみの淵深くに沈み、蹂躙される身体から切り離されている。