パ・ド・ドゥ(ぱどどぅ)とは | ニジエのエロ用語辞書『大性典』

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パ・ド・ドゥ

ぱどどぅ

クラシックバレエにおける踊りの呼称。男女のカップルによる踊りを意味する。

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一般的な意味


 パ・ド・ドゥ(pas de deux)は「二人の踊り」を意味するフランス語だが、クラシックバレエにおいては男女のカップルによる踊りを指すのが一般的である。とくに主役のバレリーナとその相手役の男性とのパ・ド・ドゥはグラン・パ・ド・ドゥ(grand pas de deux)と呼ばれ、多幕物のバレエ作品においてはしばしばクライマックスシーンを構成する。

 典型的なパ・ド・ドゥの例としては「白鳥の湖」におけるオデット姫とジークフリート王子のパ・ド・ドゥ(グラン・アダージォ)などが挙げられる。

性的な意味


 クラシックバレエにおける典型的なパ・ド・ドゥ、とくに「王子様とお姫様のパ・ド・ドゥ」は、事実上「王子様とお姫様のセックス」を象徴的に表現している踊りだと解釈できる。

 クラシックチュチュを纏ったバレリーナ=お姫様は、踊りながらスカートの下から股間(ツン)を頻繁に露出し、ときには両脚を限界まで開いた状態の股間を客席に向かって見せつける。その股間を駆動するのはバレエタイツ(ストッキングの一種)に包まれて肌の色と体毛を消され、輪郭だけを残された下半身である。しかも、その下半身(脚)はターンアウトという独特のルールによって左右に外旋され、踊りの際に極端なつま先立ちを伴うこともある。その「強制的に改造された下半身」はもはや得体の知れないエロティックなナニカであり、性的なエネルギーそのものの担い手となっている。つまりバレリーナは性的なエネルギーによって駆動される象徴的な女性器として自らの下半身を観客に提示していると言える。

 一方、バレリーナの恋人役である王子はそのアイデンティティとも言える白タイツをはき、股間の膨らみを露出した状態となっている。その外観はタイツによって肌と体毛を消されて中性化されており、きつく引き締められた股間の男性器は、勃起も射精も許されない。その動き(踊り)を他者に「見せる」ことに集約されたその下半身は、やはり行き場のない性的なエネルギーの担い手として機能する。

 つまり両者とも象徴的な性器=下半身に性的なエネルギーを乗せて駆動していると言える。踊りによって自在に動き回る彼らの「象徴的性器」は彼らの決して充たされることのない性的な結合への志向を下半身の運動によって表現している。

観客を巻き込んだ形での象徴的セックス


 クラシックチュチュを身に纏い、あられもない姿で踊るバレリーナは主に観客に対して視覚上の「象徴的なセックス」の依代を提供している。それは本質的には「オナニーのおかず」と同じものだが、見せているのは裸体や性器そのものではないため、あくまでも象徴的なレベルで性的な訴求を引き起こすものだと言える。

 観客はそのバレリーナの肉体の運動と衣裳の視覚効果を「金型」として、自らの性的欲望に同調するいわば「視線のペニス」をイメージとして形成し、駆動する。ただし、男性の性的欲望はペニスの感覚にほぼ集約されており、女性のそれよりも直截的であるため、その「視線のペニス」は想像上はバレリーナの肉体を自らのペニスで犯すイメージを思い描くものとして機能するだろう。

 女性も同様に「視線のペニス」を形成し得るが、身体的にはペニスの感覚そのものは知らないため、場合によってはバレリーナに寄り添う王子の肉体、とくに下半身のイメージを「借りる」。白タイツに包まれた王子の下半身は、いわば拡張された象徴的ペニスであるとともに女性から見た理想のペニスのイメージであり、その王子のペニスにのイメージに乗って「視線のペニス」を駆動する。その結果もたらされるバレリーナの感覚的な快楽を想像し、同調する。いわば一人二役を演じることになる。

 大きく脚を開いた時、跳躍した時、回転した時にクラシックチュチュの秘めやかな陰の奥からかいま見えるバレリーナの股間(ツン)は、性的興奮の極大の瞬間を視覚化している。いわば観客がバレリーナに奥深く挿入した「視線のペニス」と幻像の子宮口との接触感のようなものだと言える。また、「視線のペニス」がもたらす性的な結合感には、そうした直截的な性的興奮だけではなく、物語の背景、踊り手たちの肉体的な美しさなど、あらゆる要素がないまぜになって引き起こされる多層的な悦楽が伴うものと思われる。

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