牡の昂ぶりの濁流を受け止めるには女性の子宮の入り口はあまりに狭く、そのため、子宮に収まらなかった精液は膣壁の弛緩ないしは蠕動運動によって排出されることになる。
しかし生理的には排泄同等の現象であっても、少なからず精液に満たされたであろう女性器からこっぽりこぼれ出た白濁を見て、男は性欲の充足とともに征服感に満たされる。それは対象の女性を「自分のもの」にしたという所有欲の成就からくる喜びか、あるいは爛れた性の奈落に堕としたことへの嘲りか。
一方女性にとっては、溢れるほどの精液を受け止めたことにより「受精」「受胎」のプロセスに直面する。愛する相手であればそれはなにものにも代えがたい喜びとなるが、そうでなければ絶望と戸惑いに苛まれることになる。だが、避妊することなく射精されている以上、どれだけ後悔しようとも覆水は盆に返らぬように、卵子に結びつく目的を運命づけられて胎内に出された精はすべて子宮の外へは出て行かない。