定義
催眠状態と呼ばれる意識状態に相手を持ち込みあれやこれやする行為を指し、精神医学の分野で研究される科学的な事象。
過去のトラウマに起因する病気の治療などには医療行為として用いられることもあるし、もちろん催眠ショーで観客を楽しませることにも使われる。
ジャンルとしての定義
しかしことエロジャンルに至っては定義は極めて簡単で、「相手の意識や体の自由を奪っている状態」にあれば、殆どは催眠エロとして成立する現状がある。
実際の催眠術からかなり遠いイメージで語られる事が多く、催眠アプリで一発!みたいなのが横行している現状が催眠というワードの説明のしづらさに拍車をかけている。
ここでは明確な説明のため催眠≠超能力という前提で語ることをご理解いただきたい。
催眠術のかけ方
基本的には催眠術は相手に暗示をかけて無意識での行動を操るというメソッドで成り立っている。
ここでの暗示というのはいわゆる「あなたの腕はもう曲がりません!」などの命令部分のこと。
これを聞いた相手が腕を曲げようと意識しても、脳で無意識に腕が曲がらないと思い込んでしまい、結果として腕が曲がらないという催眠になる。
そしてこの暗示をしっかり聞いてもらうためには相手の被暗示性を高めて……簡単にいうとリラックスしてもらう必要があって、そこで活躍するのがいい香りがするお香だとか、一定の速度で揺れる5円玉とかのアイテム、というわけ。
つまり
いろいろとやって相手に超リラックスしてもらう→簡単な暗示を刷り込む→さらにリラックスしてもらう→また暗示を刷り込む→……
というのを繰り返して相手の催眠を深めていくのが催眠術の基本だ。
種類
ということで実は催眠には深度がある。低いものから順に記載していく。
筋肉支配
「あなたはもう自分の意志で体を動かせない!」
相手の身体の動きを支配している段階。比較的軽度の催眠に当たる。
相手の精神までを支配したわけではないので、気の強い相手ならば罵詈雑言が飛んでくるかもしれない。
催眠を使った性行為はもともと強姦の一種ではあるが、これは普通のレイプとそれほど変わらないかも。
感覚支配
「だんだん甘~く感じてくるよ……」
相手の五感を支配している段階。強制的に性感を増幅させたり、苦くてべとべとしたものを甘くてトロトロしたもののように感じさせたりできる。
相当マニアックな段階で、これに該当するエロ作品の制作者は催眠に造詣が深いと言えるかもしれない。
ただし視覚の完全な支配はもう少し後の段階になる
感情支配
「きみはこれが大好きになる」
相手の心に干渉し、行動や感情を操れる段階。
自分に対する好感度を弄って好意を抱かせたり、自分と行為をするように仕向けるために欲情させたり、忠誠心を上げて奴隷のようにしたりと、このあたりから相手に対するあらゆる行動が可能となってくる。NTRも思いのままだろう。
いわゆる人形化催眠、相手をマグロ状態にするようなものはこのあたりからできる。
極秘情報を聞き出すときなどに重宝する「ボーッとしてきて質問にはなんでも答えてしまうよ……」もこのあたりから(ただし、相手が絶対に死んでも言いたくない!と催眠前に心にとても強くロックをかけていた場合や、そもそも本人が忘れてしまっている記憶などは情報が聞き出せない場合がある)
記憶支配
「僕は先月から付き合っている君の彼氏だよ」
相手の記憶領域に踏み込める段階。記憶の改ざんや忘れさせたり思い出させたりが自在になる。
自分を恋人であると誤認させたり、失礼なことをしたらセックスしなくてはいけない、だとかのいわゆる常識改変ができるのはこのあたりから。
相手を通常の精神状態のまま、自分に対し従わせるということも可能となる。
長々と語っておいてアレだが、ほとんどの催眠モノでは事後に相手とのセックスの記憶を消す必要があるのでこの記憶支配の段階までデフォルトで進む事が多い。
幻覚支配
「あなたには僕が見えません」
とうとう相手に幻覚を見せることができる段階。ないものを見せたり、逆にそこにあるものを見えなくしたりができる。
浴室を幻視させて服を脱がせるだとか、こちらを見る人々を幻視させて擬似羞恥プレイに持ち込むだとかのテクニカルな使い方もあるが、一番多いのはやはり見えなくしての擬似透明人間プレイだろう。
実は常識改変よりも難しい段階にある。
完全催眠
ちなみに催眠の最終段階はあらゆる自発的行動が禁止された状態と言われている。ほぼ昏睡状態。
最後に
催眠アプリで一発!が嘘なのはみんながわかっていることだが、催眠は嘘ではない。催眠というのが科学的な事象であることをどことなく感じてほしい。
しかし、催眠アプリを用いたエロが抜けるのもまた事実。嘘だから、とかこんなの催眠じゃない、とかで作品を貶めるのは紳士にあるまじき行為だぞ。